現在、全国ほとんどの地域で新型コロナウイルスが流行しています。特に、現在流行しているデルタ株は子供への感染も広がり、周囲への感染力もましていることから、子どもたち相互での感染拡大が始まっています。
ここでは、子供に発熱や席などの症状がある場合の対応、家庭内での感染予防についてお話したいと思います。
子供が発熱したとき、受診して検査を受けるべき?
子供に発熱や咳などの症状がある場合、受信させるべきか悩むと思います。受診先が見つからなかったり、見つかっても検査結果が出るまでに時間がかかったりすることも考えられます。必ずしも受診しなければならないわけではありませんが、周囲への感染予防を心がけていく必要があります。
特に、流行地への旅行後、感染者との接触が明らかな場合、家庭内に高齢者など重症化リスクのある方がいらっしゃる場合、すでに家庭内に複数の発症者がいる場合などは、早めに検査を受けられることをお勧めします。
受診するのが難しいときには市中にあるPCR検査書を利用することもできます。一般的に唾液の提出なので、既定の検体採取のカップを入手できれば、お子さん自身が検査所を訪れる必要はありません。
また郵送で受け付けているところもあります。
抗原検査で感染しているか判断できる?
ドラッグストアなどで販売されている抗原検査キットを使ってみるという方法もあります。
鼻から1〜2センチくらい奥に入れて検体を採取するもので(子供さんの協力さえ得られれば)一般の方でも安全に実施することができます。
陽性一致率は56.2%(アボット社)ですが、製品ごとにばらつきがあるため、診断に変わるものではないことをご留意ください。陽性の結果が出たときは、医療機関にその旨連絡し、受診するようにしてください。
検査結果が陰性であれば、学校や塾に通わせることができる?
PCR検査や抗原検査の結果が陰性だったとしても感染が否定されるわけではありません。感染者との接触があったなど、特に新型コロナウイルスに感染したと考えられるときは、症状を認めた日をゼロ日目として10日が経過し、かつ、解熱剤を使わずに24時間が経過するまでは、学校や塾、クラブ活動など休ませるようにしてください。
また、発熱や咳などの症状のある子どもさんを祖父母や持病のある方に預けないようにしてください。感染が明らかになってから慌てても遅いです。
こうして重症化する高齢者が少なくありません。
子供の検査結果が陽性だった場合にはどうなるの?
自治体によって方針が違いますが、自宅療養継続になることが多いでしょう。呼吸が不安定だったり、嘔吐や下痢などで十分な水分摂取ができていないときは、保健所や診断した医師の判断により入院となります。
感染した子供を自宅で見守る際の注意点は?
自宅で療養している子供さんの状態を、継続的に観察してください。
高い熱が出ているだけで慌てる必要はありませんが、食べられない、寝られない、遊べないなど、いつもの様子と違って心配な場合は、かかりつけの医師など医療機関に相談をしましょう。
緊急で受診させなければいけない場合は?
次の場合は、なるべく早く医療機関を受診しましょう。
◎手足を突っ張る、眼が上を向くなど、痙攣の症状がある場合
◎ぼんやりしていて視線が合わない、意識障害の症状がある場合
◎顔色が悪い(士気色)、唇が紫色をしている(チアノーゼ)
◎呼吸が早く、息苦しそうにしている。ゼーゼーしている
◎半日以上おしっこが出ていない。嘔吐や下痢が続いている
なお夜間・休日で受診すべきか判断に迷ったときは、子供医療電話相談事業(♯8000)に電話することで、小児科医師や看護師に相談することもできます。
子供が自宅療養の場合、感染予防はどうすれば良い?
子供部屋があるなら、そこで療養させてできるだけ部屋から出ないようにするのが一番の感染対策となります。
部屋を出ざるをえないときは、まず、アルコールで手指を消毒させます。そして、できるだけマスクを着用します。部屋の外では、あちこち触れないことも大切です。可能なら、本人が通ったあとの場所は、部屋全体の空気が入れ替わるくらい換気をしましょう。
食事方法は?
できるだけ一人で食べましょう。
ただ、小学校の低学年以下であれば、両親の付添が必要でしょう。窓を開けて換気をしながらマスクを着用して介助をしましょう。本人が箸やスプーンを差し入れた食事には、他の家族が口にしないように注意しましょう。
トイレやお風呂はどうすれば良い?
共有する場所では感染した子供さんが使用したあとに、触った可能性のある場所をアルコール消毒をしましょう。
入浴の順番は最後にしましょう。浴室消毒は子供さんの使用直後よりもそのまま放置しておいて翌日にするほうがウイルスは減っているので安全です。
浴室内はアルコールで拭くよりは洗剤を使って流してしまうほうが簡便だと思います。
衣類などの感染予防はどうすれば良い?
タオルやシーツ、衣類についてはビニール袋に入れて3日経過するまで子供さんの部屋に置いておきます。
これだけ放置すれば、おおむねウイルスの活性は失われます。
感染対策を徹底すれば、家庭内での感染が予防できる?
ここまでの対策を徹底して行えば、家庭内感染を予防できる可能性は十分にあります。
でも感染した小さな子どもさんを密着してケアしながら、守ることには限界があります。
いくつもの対策を積み重ねながらリスクを減らしている感覚が必要です。
予防対策として、大人たちがワクチンを接種しておくことが大切です。
子供にワクチンを接種すべき?
12歳以上であれば、ワクチンを接種することができます。ただし、子供は感染しても多くが軽症であり、副反応のリスクに比べて、ワクチン接種により得られる恩恵は大人と比べると少ないです。
基礎疾患のある子どもさんなどワクチンが必要な方もいますし、重要なイベントをひかえているなど、希望があれば接種の準備が必要だと思います。